Keep To Your Philosophy

今年のGWは9連休あったので、曲作りに没頭する事が出来ました。自宅に防音室があるとスタジオに行く必要もないので、買い物以外は家に篭りきりの作業でした。集中して音楽を作るには理想的な環境なんですが、こういう事を話すとたまに妙な偏見を持つ人がいます。休みの日に家に篭るというのが何やらネガティブな認識のようです。まあ、こういう事は仕方のない事です。

痛みも苦しみも、感動も喪失も、人の感情は同じ実体験なくして共有など出来ません。共有出来ず、興味もない事柄は相手にとって無関心です。人が大切にしてる事を自分も共有は出来ないし、自分が何を得ているのかも言葉で伝えられるものではありません。

生き方が違うという事は価値観も違うという事。価値観が違えば共有出来るものも異なります。分かり合える人たちだけ、分かり合えればそれで良いと思います。人間が一生の内、守り続けられるものなどただ一つだけ。そのただ一つに何を選ぶのかは人それぞれという事です。

欲張って全てを得ようとすれば必ず他の何かにほころびが出るし、何も考えずに生きてる人はきっとほころびが無数に存在するでしょう。特別なモノに代償を払い続けない生き方なら、手元に残るモノも人並みに惰性になった危ういモノばかりになります。

ただ一つのモノに人を選択するなら、一方的な想いでは限界が来るでしょう。でも互いに同じ意識を共有し合えるなら幸福な共依存が得られる筈です。どちらかが裏切るまでは。

仕事に人生を捧げるなら、一度それに徹してしまえば歳を取るほどラクになるでしょう。主流でいるというのは最も体裁を保てる行為です。世間体に反駁する事も、偏見の憂目に合う事も、先の不安に苛まれ続ける事もない。安定に代償を払い続ける事で目を背けていられる事は多いです。殆どの人は家庭を持つ事で否応なくそうしているでしょう。

でもそれらとは全く別の何かに帰依して生きる事を選択するなら、自分が何者かにならない限りは歳を取るほど息切れして困難になります。仕事をしながらの二重生活が延々と続く事に次第に嫌気も差します。メンタルの弱い人なら数度の挫折で転ぶでしょう。

創作の世界では何年も掛けて失敗作を大量に産んだ末に、ようやく自己満足を遥かに超えたモノが作れるようになったとしても、無名である限り人はその価値とは向き合ってくれません。

先入観なしにモノの価値が判断出来る人などほんのごく少数です。それを生業にしてる人ですら見誤ります。ましてや常に受け手の人間にその判断は難しいでしょう。日頃自分で選択してると思ってるモノの大半は、産業ビジネスの枠組みの中で先入観を与えられたモノにすぎません。名前がないモノに対しては人はそれを無意識的に選択肢から除外し、色眼鏡を掛けがちです。

どれだけ優れたモノを作っても作者が何者でもなければ軽く見られるし、たいしたモノなど作れなくても評価さえされてれば周りはそういう目で見ます。人の評価などその程度のものでしかないという事です。モノの価値は名前の価値に等しいもの。だからこの産業に於いてはモノ自体より別の部分の方がより重要視されます。

鑑定士が判断するのもモノとしての価値ではなく、その作者が誰かという事。依頼人が求めるのも本物か偽物か、高いか安いかだけ。モノそのものの価値に主眼は置かれません。

産業創作の価値基準はネームバリューと話題性です。それらはより大衆的であるほど多くの利権を産み、モノとしての価値も高まります。それがエンターテインメントの本質です。それ故無名な人間が自己満足も大衆性も超えた場所で納得するモノを作った所で、逆にストレスを抱え込み、悔しい思いをする事になります。

それでもモノとしての価値だけを突き詰めた表現を追求するなら、それが可能な力が自分にあると信念を貫けるなら、数え切れないほど心が折れても自分だけは意地でも自分を信じ続けねばなりません。例え生涯誰にも認められなくても。

それをエンタメ産業の枠組みを蹴飛ばして、個人レベルのルートで構築していくのは限りなく不可能に近い事だし、他人には理解不能のストレスで憤死しそうなものですが、だからこそその生き様を完遂出来れば、それは価値あるものへと変化します。分からない人には全く分からない話でしょうが。

そんな想いから今回のアルバム・タイトルは、”Keep To Your Philosophy”に決めました。言葉の全文は、”Keep to your philosophy, to bless your death.” 《死を祝福するために、己の哲学を貫け》です。どれだけいるのかも、どれほどのレベルかも、何を共有出来るかも全く不明ですが、生きるために何かと戦い続けてる人たちへのエールです。

さて、連休中に作った二曲のラフ・ミックスがようやく完成し、これでアルバム用の楽曲が全て揃いました。一曲は去年から取り組んでいたものをようやく形に出来たもの。今まで作った曲の中で最多のトラック数になりました。ドラムと和太鼓と手拍子で9T、アコギとエレキとベースで9T、金管・木管・弦楽で14T、民族楽器とメロトロンで4T、ボーカル・バックボーカルで4T。実音だけで計40トラック。これにAUXトラックが入るので各セクション毎にバウンスしないと重くて動かない。これだけ音数が多いとさすがにミックスに時間が掛かりました。

この曲のキーはかなり高いですが、これでもチューニングは1音下げ。6弦開放の音を使うのでこれ以上キーは落とせず、自分本来のキーより高いながらも、勢いのあるボーカルが録れたと思います。上京したての頃はこんな無茶な声でばかり歌ってました。

※2016.10.4 オリジナル・マスター(視聴サンプル用ダスト・ノイズ付加)に差し替え

もう一曲は何年も前に作った曲ですが、メロがどポップ&キャッチーすぎて、ずっと手掛ける気にならなかったものです。でもアルバムの流れを考えたらこういう曲が案外必要になる気がしたので最後の曲に採用しました。コードとメロを基準にそのまま曲を作ると、聴きやすく飽きやすい単調なポップソングになってしまうので、コーラスのベースラインや構成を工夫して、キャッチーになりすぎないよう気を付けました。この二曲はメドレー形式で繋がってます。

※2016.10.4 オリジナル・マスター(視聴サンプル用ダスト・ノイズ付加)に差し替え

今後は2、3曲のボーカルを録り直して、今月中にPro Toolsを最新版にアップグレードし、UAD-2をインストールしたら、やっと本ミックス開始です。2ヶ月以内には全12曲のミックスを終わらせたいと思ってます。その後ISRCコード申請、マスタリング委託、プレス盤発注となるので、秋ぐらいに完成を予定しています。予定より少し遅れそうです。

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