サイレントボックスのカスタマイズ 前編
車で音楽を聴く時、ipodをシャッフルで聴く事が多いんですが、この間自分のバンド時代の曲が流れたので久々に聴きました。
その時感じたのが、『昔の方が今よりギターの音が良い』というもの。
ショックでした。あの頃に比べ理想のファズの音は完成してるし、機材もミックスも今の方が格段レベルが上。となると違いはキャビネット。
昔スタジオで使ってたキャビネットはMarshall 1960A。12インチのスピーカー(Celestion G12-75)4発のものです。
対して今使ってるキャビネットは6インチの交換不能・メーカー不明のスピーカー1発のサイレントボックス。今更ながらギターやアンプに比べてキャビネットに対する無頓着がすぎました。
考えてみればレコードを聴く時、ターンテーブルからトランスやアンプを経て、最後にスピーカーから音が出ます。スピーカーのチョイスは非常に重要です。
そこで6インチスピーカーのサイレントボックスを、12インチスピーカーのサイレントボックスに変更する事にしました。
まず購入したのが『Jet City AmplificationのJetStream ISO ii』。
ただこのままではサイレントボックスとしては弱く、デフォルトの16Ωのスピーカーも自分の環境では使えないので、防音を一からカスタマイズして、安いパーツを総取っ替えし、スピーカーもCelestionのVintage 30(8Ω)に交換していきます。
ここからは写真付きで手順を記していくので、サイレントボックスの自作やカスタマイズを考えている人は参考にして下さい。
まずはデフォルトで付いている防音用の綿とスピーカー、パーツ類を全部取り外し、エンクロージャだけにします。
周囲に散乱してる白い物体がタッカーで雑に打たれていた安っすい普通の綿です。さすがはアメリカメーカーのメイド・イン・チャイナ。作りが雑です。こんな綿では何も防音出来ない。
パーツも安っすいものを使ってます。ノイズの元になるのでちゃんとしたものに交換します。
左が付属のキャノンコネクタ。右が新たに用意したコネクタです。サイズが合わなかったのでパネルは少し削りました。
スピーカーケーブルはベルデン9497が余っていたので、これに新品のフォンコネクタをハンダ付けし、逆側に205Mのファストン端子をカシメました。
左が付属のケーブル、右が自作したものです。
左がデフォルトのスピーカー(16Ω)、右が今回取り付けるCelestionのVintage 30(8Ω)。
防音は遮音材と吸音材の組み合わせなので、まずは剥き出しの木枠に遮音シートを貼ってタッカーで止めていきます。
以前防音室をカスタマイズした時に使った遮音シートが余っていたのでこれを今回使い切りました。両面テープが付きやすい裏面を敢えて手前にしています。
新しいパーツを付けたパネルを取り付けます。
吸音材と新しいスピーカーを取り付け、録音用のマイクをセットします。マイクはSHUREのBETA 57Aを使います。サイレントボックス付属の安っすいマイクケーブルは当然使いません。
センター付近とエッジ付近のニ箇所から狙えるようにホルダーを取り付けています。
以上で完成です。
鳴らしてみると今まで使ってたサイレントボックスに比べて元音がより明瞭になり、迫力が別物になりました。でもやはり12インチだとかなりの爆音です。
アンプの設定次第ですが、これでは全くサイレントではありません。私はこのサイレントボックスを更に防音室の中に入れます。配線を通す為防音室の扉は僅かに開けますが音漏れはだいぶ減少します。
これでアッテネーターを使えばレコーディングに耐えうるアンプの音量を稼ぎつつ、家の外まで音が漏れなくなります。
ファズの乗りはキャビネットでも左右されるようで、Vintage 30とファズとの相性は抜群でした。
新品なのでまだエイジングが必要ですが、長らく眠っていたMarshall JCM800との相性も良いはずなので、今後は歪ませた音はMarshall 、クリーントーンはHaydenに使い分けようと思います。
8月頃からまたレコーディングを始める予定なので、元音が良くなって音がどう混ざるかが楽しみです。
ちなみにこうして大抵のものを自分で作ったり直したりしていると、人からの頼まれ事も多くなります。
昔は喜んでくれればとの一心でタダでしてあげたんですが、善意でやってた事が当たり前に思われてくる事に嫌気がさして、今では面倒な頼み事は一切引き受けていません。
皆さん自分の事は楽せず自分でやりましょう。浅ましいクレクレ人間は現代に生まれた新種の妖怪です。