新型コロナウイルスに関して
2019年12月に中国武漢から発生した新型コロナウイルス。日本では去年の2月以降急速に広まり、それから一年半経った現在も収束する気配は全くありません。
東京オリンピックの強行開催以降は更に感染者は増加する一方で、一年半前とはウイルスの強さも変わってきています。
これだけコロナに関する情報が毎日溢れている反面、正確にその情報を把握している人は意外と少ないように感じます。なので現時点で分かっている事を一度纏めて整理してみたいと思います。
まず『感染』にはウイルスによる感染と細菌による感染の二つがあり、コロナはウイルスによる感染です。感染経路は空気感染、接触感染、飛沫感染があり、これは未だ研究者によって主な感染経路の見解が異なっています。空気感染が主な感染経路と決定づけている研究者の声もあります。
通常一度ウイルスに感染したら体内に抗体が作られ、再度同じウイルスに感染する事はありません。しかしコロナウイルスに関しては再感染が起こり、一度作られた抗体が発症後3~6ヶ月しか維持出来ない事が今では多くの研究機関から発表されています。
この抗体の消失が収束不能なパンデミックの一番の要因となっており、感染者の一部にはコロナ陰性になった後も長く続く後遺症『Long covid』に苦しむ人もいます。
またコロナウイルスのワクチンですが、ワクチンには生きているウイルスを弱体化させて体内に取り込む『生ワクチン』と、死んだウイルスを体内に取り込む『不活化ワクチン』があり、どちらも疑似感染させる事で抗体を獲得し、同じウイルスが侵入した際それをすかさず攻撃・排除する事が可能となります。
生ワクチンには副作用があり、不活化ワクチンには副作用はないものの何度か注射をしなければ効果が期待出来ません。
では今回のコロナワクチンはどちらなのかというとそのどちらでもありません。従来のワクチンとは全く違う『mRNAワクチン』という手法で作られたものです。
通常生物はDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)を持ち、これら核酸は細胞内に含まれ、それにより遺伝子情報を保持及び複製して、呼吸によって酸素を取り込み、腐敗した細胞を新しく作り変える代謝で生命活動を維持しています。
しかしウイルスにはDNAとRNA(mRNA)のどちらか一方しかなく、細胞も持たない為、カプシドというタンパク質で核酸を包んでいます。コロナウイルスの形状は以下の通りです。
① 核酸のmRNAはNタンパク質(ヌクレオカプシドタンパク質)という丸いカプシドで覆われています(図のオレンジ色)。これは切れた数珠のような形状で、数珠を繋ぐ糸が1重螺旋の鎖のようなmRNA、そのmRNAを保護する数珠の珠がNタンパク質です。
② ①を入れる容器が脂質で出来た丸いエンベロープと、それを覆うトゲトゲのSタンパク質(スパイクタンパク質)、更にEタンパク質(エンベロープタンパク質)やMタンパク質(メンブレンタンパク質)で新型コロナウイルスは形成されています。
このコロナウイルスのトゲトゲのSタンパク質だけを体内で複製するように人工的にmRNAを書き換え、その書き換えたmRNAを脂質でコーティングして筋肉注射で体内に注入しているのが今回のコロナワクチンになります。
これを二度打つ事によりコロナウイルスのSタンパク質だけが体内で人工的に作られ、それに免疫システムが反応してIgG抗体を獲得します。細胞に注入されたmRNAは人間のDNAがある細胞核には入ってこれず、短期間で分解されるようです。
そしてIgG抗体を獲得すればコロナウイルスが体内に侵入しても、トゲトゲのSタンパク質に反応してこれを撃退します。
なのでIgG抗体検査ではコロナに感染した人はSタンパク質、Nタンパク質の両方が陽性となり、ワクチンを摂取した人はSタンパク質のみ陽性となります。そしてIgGが消失すれば再感染します。
従来の生ワクチンや不活化ワクチンでは最短でも4年は掛かるといわれたワクチンが僅か1年未満で完成したのは、これが遺伝子解析の技術を用いて作られた新しいワクチンだったからです。
と、以上が当初の理屈だった筈ですが、いざ蓋を開けてみるとワクチンを二度接種してもコロナに感染し、海外でワクチン接種者がマスクなしで密集したイベントを行えばクラスターが起こり、ワクチン接種率の最も高いイスラエルで新規感染者が最も多いという矛盾を引き起こしています。
これではワクチンの接種率を高めても集団免疫の獲得は難しく、今ではワクチンを摂取する事で重篤化が防げるという認識に変わりつつあります。しかし上記の説明を正しく理解すればその情報に根拠などない事が分かるでしょう。これは多額の税金を投じたワクチンを無駄にしない為の情報でしょう。
2020年9月にイギリスから広まった変異株は現在アルファからミューまでの9種が確認されており、それらのSタンパク質のアミノ酸変異に抗体が100%機能せず、ワクチン接種者が続々と罹患している状況なのだと思われます。
そもそもワクチンの開発が難しいのはワクチンで獲得した抗体を正常に機能させる事が困難だからで、その為に臨床試験を何度も繰り返す必要があり、開発には時間が掛かるものとされています。
しかも『mRNAワクチン』は人に使用するのが初めての試みの未知のワクチンであり、これまで動物実験の段階で成果を挙げられなかったものです。
それを十分な臨床試験を経ずに実用化を急いだ為、人や体質によって抗体が過剰反応を起こし、正常な細胞を攻撃するイレギュラーがあるのではとの懸念を声にしている人もいます。これに関しては世界中のワクチン接種者から随時データを収集中という状況なのでしょう。
しかし政府としては取り敢えずこのワクチンを国民全員に接種して様子を見るという対策しか打てず、どの程度抗体が維持出来るのかは不明ですが、打つリスクと打たないリスクを正しく把握し、正しい情報を身に着け、人の意見に左右されず自分の意志でワクチンの摂取・未接種を選択すべきでしょう。
次にコロナウイルスによる後遺症『Long covid』に関してですが、ロング・コビッドは慢性的な疲労、呼吸困難、関節痛、頭痛、息切れ、脱毛、発疹、胃腸の不調、認知能力や集中力の低下などがあり、感染後半年以上その症状が続いている人もいるようです。
これはまだ未確定の情報ですが、アメリカ国立衛生研究所に投稿されているコロナ関連の論文に、ロング・コビッドに苦しむ人の体内では、コロナとは本来無関係の筈のEBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)が再活性化しているとの報告がありました。
このEBウイルスはキスなどにより唾液を介して感染するウイルスのようで、虫歯菌と同じく殆どの人が保持しているものです。癌や悪性リンパ腫の発症とも関係があるようですが、普段はストレスなどによって再活性化してインフルエンザのような症状を発症し、時に自己免疫疾患の引き金となっているとの事。
ロング・コビッド患者の7割ほどにこのEBウイルスの再活性化が見られ、後遺症のない患者は1割ほどが再活性化していたとか。その真偽には更なる検証が必要でしょうが、これが事実なら遺伝子解析で操作したコロナのRNAを体内に取り込み、人工的にSタンパク質をコピーさせる事でEBウイルスが再活性化する個体がいるという事になります。
現段階では憶測の域を出ませんが、ワクチンに関する副作用は現状分かっているものの方が少ないでしょう。今後明らかにされるものと、明らかにされないものがあるのかも知れません。
ワクチン接種にはそれぞれメリットやリスクがあり、体質や年齢による個体差もあると思います。陰謀論に基づいた反ワクチン派などもいるようですが、確かな事はワクチンを接種しようがしまいが変異株には感染し、集団免疫には至らず、これまで通りマスクを着用して手洗いや消毒を徹底する生活に変わりはないという事実です。ワクチン未接種者に対する魔女狩りじみた批判は何ら的を得ない差別でしかありません。
特に昨今は軽率な行動をした人は必要以上に叩かれ、正論を振りかざす事が人を中傷・攻撃する免罪符となり得ています。
しかし正しい事を言う人が正しい人間ではなく、正しい事だけをして生きていく事も人は出来ません。
人種差別、男女差別に過剰に反応しすぎても、右や左に考えが偏りすぎても、バランスを失えば墜落します。重要なのはバランスを重視する中庸の心です。