Fireface UCX
11月半ばには全ての曲のミックスを終え、配信用のデジタル音源の最終的な音圧を決めました。
人間の耳は音圧が高ければ良い音と勘違いします。その高い音圧はコンプやマキシマイザーで音を潰し、可能な限り音の波形をフラットにする事で得られます。でもその弊害として曲のダイナミクスが失われ、音が歪んで分離も悪くなります。
それでも高い音圧=良い音という過剰音圧論争が少し前まではあり、とにかくデカイ音圧の曲が市場に溢れていました。それも今はようやく収束して再び適正な音圧に戻りつつあります。
多少音圧が低くてもアンプのボリュームを上げてダイナミズムが得られれば、それが適正な音圧です。音が歪まず分離も良い。
同じ音量で聴き比べればそれらの違いは一聴して分かるものですが、比較対象がなければ人はデカい音を良い音だと感じてしまいます。
今回はアナログ盤を作るので、アナログメディア用とデジタル配信用の二種類のマスターを作らねばならず、デジタル用の音圧をどの程度にしようか迷いましたが、取り敢えず音圧は適正より少し低めで行こうと思います。
アナログ用はカッティングエンジニアがマスターソースによって音圧を決めるので、とにかくバランスの良いミックスを心掛けました。
特にアナログ盤のマスターは低域の処理を適切にしないと針飛びを起こします。30~50Hzの低域はカットして、100~300Hz以下の帯域はモノラルで逆位相をなくし、15kHz以上の高域もカット。カッティング時に音圧が稼げるように通常よりも低い音圧でマスターを作らねばなりません。
でもその作業中にアナログ出し後の音の劣化がどうにも気になり、このタイミングでオーディオインターフェイスの買い替えに踏み切りました。
今まで使っていたのはAvidのMbox Pro。発売当初はそこそこのオーディオI/Fでしたが、9年経った現在では内部プリアンプもAD/DAコンバーターもワードクロックもこれ以上のものが市場には沢山出回っています。
本当はPRISM SOUNDのLyra2が欲しかったけど、Pro Tools 2018通常版での動作に不安があった為、Windowsでの動作に定評のあるRME Fireface UCXに決めました。
Mbox Proより音が鮮明になり、前に出てくるようになりました。少し音に元気が出るような色付けがされている感じです。
気になっていたアナログ出しの音の劣化は全くありません。もっと早く買い替えに踏み切ってこれでレコーディングすべきだった。いつも後手後手に回ってしまう。
ついでにマスタリングに使用するマスターレコーダーも一緒に購入しました。こちらはTASCAMのDA-3000。
通常使用では192kHz/24bitまでのPCM録音ができ、DSDソースの音源ならDSD録音も出来るレコーダーです。これで録音したものをマスターにして、マスターからPCに落とした音源にWave LabでISRCや曲名などの情報を書き込み、ビットレートを変換します。
DA-3000はAD/DAコンバーターも優秀なので、FirefaceからS/PDIFでデジタル接続してDAコンバーターとして使用し、これにモニタースピーカーを接続しています。Firefaceからモニターするよりも音がナチュラルです。
モニタースピーカーは去年からIK MultimediaのiLoud Micro Monitorと、YAMAHAのMSP5 STUDIOの二台を切り替えて使い分けています。
更に勢いでTASCAMのパワーディストリビューターAV-P250も買ってラックシステムを組みました。来年中にはクロック・ジェネレーターも買う予定です。
今年こそノイマンのマイクU87Aiを買おうと貯めていた資金を殆ど使い果たし、アナログレコード制作に貯めていた資金もこれが完成したら飛んでいきます。
飛んでいくばかりで返っては来ません。ギブばかりでテイクのない貧乏ミュージシャンです。
肌の弱体化も年々進み今冬からとうとうヒートテックの化学繊維が肌に合わなくなりました。風呂に入ると脛一面に蕁麻疹が出来ます。
肌に直に着なければ大丈夫なので、足首部分を切った靴下で脛を覆ってからヒートテックタイツを履いています。もはやただのタイツです。ヒートテック効果がありません。テイクがあるのは怪我や病気だけです。