明けましておめでとうございます

2014年、始まりましたね。皆さん初詣にはもう出掛けたでしょうか?私は行っていません。

現在の初詣の風習は明治以降の鉄道会社のPRで根付いたもののようですね。バレンタインやクリスマス同様商売絡みで普及したイベントです。といっても年籠りや氏神への参拝など初詣のモデルとなった行事は昔からあったようです。それらの中身を捨てて抜け殻だけを受け入れやすいものに作り変えるのは商売の基本といった所でしょうか。何やらどこぞの宗教団体の本質のようです。中身のない利権絡みの普及だから取り敢えず大きな寺社へ出掛け、祭神の名前も由来もろくに知らない神様に正月早々自分勝手な願い事をする風習にすり替わってますね。もし神が人の観念であるのなら、現在の神は人の願いを聞く奴隷のようなもの。あらゆる宗教観と身勝手な欲望が幼心のまま勝手に育った思い込みが漠然とした現在の神の正体だと私は思います。
人の願いを聞き届けてくれる便利な神様がいたら世界はもっと平和で商売繁盛。日本人が古来畏れた神の観念も今じゃ神社の神主さえ知らない古い化石。でも日本人の文化史や倫理観の根底には常にそれらが息吹いています。神とは人を救う観念ではなく、人を作る観念として有効だったのではないでしょうか。

さて、話は変わりますが去年の一時期、古いブルースばかり聞いてた時期がありました。マディ・ウォーターズやジミー・リード、ロバート・ジョンソン、エルモア・ジェイムス。一通り聞くと今度は60年代のストーンズが聞きたくなり、そこで改めてブライアン・ジョーンズの凄さを再認識する訳です。
一般的にブライアンは作曲能力がなかったと過少評価されてるし、ミックもブライアンをコケにした発言をしてますが、それは作曲し続けるチャンスを与えられなかったからでしょう。ミックやキースもマシなものが出来るまではクズみたいな曲を大量に書いていた筈です。重要なのはブライアンのアレンジ力がストーンズ随一だという事実です。ストーンズ初期の名曲 Paint It Black、 Mother’s Little Helper、Lady Jane、Under My Thumb、Out of Time、Ruby Tuesday、そしてNo Expectations。これらの曲にブライアンの演奏がなければ極めて平凡な曲になるでしょう。曲を作ったのはミックやキースとしても、曲に色を付け、魂を吹き込んだのは紛れも無くブライアンのセンスと多様性です。これらの曲が放つ独特の雰囲気は、ブライアン以降のストーンズにも、他のどのバンドでも聞けない唯一無二のものです。Paint It Blackは元々オルガンの曲だったようで、どうやっても上手くいかなった所、ブライアンがシタールを使って独自の解釈を示すと全く別の曲に生まれ変わったそうです。コードとメロディーだけのNo Expectationsをあれほど美しい曲にしたのもブライアンです。

ブライアン・ジョーンズといえば、ローリング・ストーンズの創設者であり初代リーダー。ブルース・ハープとスライド・ギターの名手で、多彩な楽器を操り、高いカリスマとファッション・センスを備えた男。そして次第に孤立して居場所を失い、ドラッグで身を滅ぼした神経症の自己破滅者というイメージが付き纏っています。でも表現の世界に身を置く人間に高い人格などを求めてはいけません。普通の人間とは違う場所に精神を置いているし、基本的に性格が破錠した連中や、それを模倣して露悪的に振る舞うバカばかりです。特に成功者は自分と他人に不幸を撒き散らすようなクズっぷりを遺憾なく発揮してくれています。けどそんなクズみたいな人間が創る音楽が心を打つ。結果的に自分の人生を切り売りして音楽に与えていたからでしょうか……。
これまで色んなロックスターの人生が映画化されてきましたが、まあどれを見ても清々しい程のクズっぷり。裸の王様に群がるイエスマンの取り巻きとグルーピー達。酒と女とドラッグで次第に身を滅ぼすという
絵に描いたような成功と堕落と破滅の物語。けどそんな彼らも自身の音楽のルーツに対しては常に敬意を払っていました。とても大切な事です。

誰よりも頭が良く、感覚が鋭いが故の苦悩を持ち、誰よりも挑発的で、自己本位で、マキャベリストだったブライアンの心には、結果誰よりもほろ苦いブルーズが備わっていたのだと思います。

Masaki Aio

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