サイレントボックスのカスタマイズ 後編
前回のサイレントボックスのカスタマイズから少し改良を施しました。
以前防音室の改造で床板に敷いた20mm厚のゴム板が余っていたので、それを使ってスピーカー周りを囲い、内部の防音を二重構造にしました。前面を外して横から見るとこんな感じです。
スピーカーのエッジ部はゴムを削る加工などが必要で、マイクの位置も固定になりますが、防音効果はかなり上がります。ゴム板の内側には10mm程度の吸音材を貼り、スピーカー交換の際に解体出来るように組み立て式で接着はしていません。前面も覆うとこんな感じです。
更に隙間に余ったゴム板や吸音材を詰めます。デフォルトで貼ってあった綿はスピーカーの裏側に詰めています。
パネルを閉じて音質の変化と防音効果を確認します。音質が若干変わるのでアンプのトーンを調整し直してから、スマホの騒音計でデシベルを測定してみました。
アンプはMarshall JCM800、マスターボリューム4.5、プリアンプ4のクランチ。歪はエフェクターを使用。アッテネーターの出力は40%で測定します。
1重の防音は平均64.9db。2重の防音では平均59.7dbでした。およそ5dbのマイナス。これを更に防音室の中に入れると平均47.5db。12dbほどのマイナスになります。
5~6弦の低音を弾く際に音圧が跳ね上がって音漏れが激しくなりますが、この低音の迫力こそ昔の録音にはあって今はなくなっていたもの。これが重要です。
騒音計はスマホのアプリなので正確ではないでしょうが、参考までにテレビの音量を測ると38.4db(小音量時)。音楽を聴く音量は49.4db(小音量時)ほどでした。
防音室の扉を完全に閉め切れば更に音漏れは防げますが、スピーカーケーブルとマイクケーブルの二本を通す隙間が必要なので、扉は閉め切る事が出来ません。
そこで扉以外の箇所からなんとかケーブルを引けないものか考えてみました。
防音室には電源コンセントと換気扇が装備されていて、この二本のケーブルが中から外に出ています。換気扇のケーブルは細い為、パッキンを拡張すれば二本分のケーブルがここに通せそうです。
早速ケーブルのパッキンを拡張して二本のケーブルを内側に通しました。ケーブルとパッキンの隙間にはスポンジを詰めています。
通したケーブルはブレーカーボックスに通じており、必要な長さ分を決めてケーブルの両端にフォンコネクタとキャノンコネクタをそれぞれ接続すれば専用配線が完成です。これで防音室の扉を完全に閉め切る事が出来るようになりました。
防音室の扉を閉めて上記と同じセッティングで音量を測ると平均39.2db。テレビの音量とほぼ同じになりました。アッテネーター40%でマスターボリュームを6.5まで上げても大丈夫です。
アンプの歪みだけで音作りをする場合はこれぐらいのボリュームから良い歪みになっていきます。アッテネーターを5%にすればボリューム10でも外まで音漏れしません。
ちなみにたまに勘違いをしてる人がいますが、アッテーネーターはアンプの電圧を下げる為のもので、大容量アンプを部屋で小音量で鳴らす為のものではありません。
今回使用しているスピーカーCelestion Vintage 30の許容入力は60Wなので、100WのJCM800をフル稼働すればスピーカーが飛びます。
60W以下の出力に抑える為アッテネーターで40%(40W)に変換してキャビネットに繋ぎます。
電圧を下げると音量も小さくなり、ある程度ボリュームを上げなければ得られないチューブのドライブ感が、通常よりも小音量で得られます。
多分これが家で大きなアンプを鳴らせるものと勘違いする原因だと思います。30W以上のアンプはサイレントボックスや防音室なしに家で鳴らせるものではありません。
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