Keep To Your Philosophy

今年のGWは9連休あったので、曲作りに没頭する事が出来ました。自宅に防音室があるとスタジオに行く必要もないので、買い物以外は家に篭りきりの作業でした。

集中して音楽を作るには理想的な環境なんですが、たまに妙な偏見を持つ人もいます。どうやらそういう人たちは休みの日に家に篭るのを不健康だと思っているようです。

つまり自分自身が家の中で何もする事のない退屈な人間だから、他人もそうだと決め付けている訳です。

痛みも苦しみも、感動も喪失も、人の感情は似た実体験なしに共有は出来ません。共有出来ず、興味もない事柄なら相手にとっては無関心。

人が大切にしてる事を自分は大切に思えないし、自分が何を得ているのかも他人には理解は出来ない。だが互いに想像する事は出来る。

想像する事を止めてしまったら、家に篭って音楽を作る事が不健康だと思うような馬鹿になる。

創作の世界では無名である限り人はその価値と向き合ってはくれません。どれだけ優れたモノを作っても作者が何者でもなければ軽く見られるし、たいしたモノなど作れなくても知名度さえあれば周りはそういう目で見てくれます。

人の評価などその程度のものでしかないという事。モノの価値は名前の価値に等しい。だからこの産業に於いてはモノ自体より別の部分の方が重要視される。

鑑定士が判断するのはモノの価値ではなく作者の名前。依頼人が求めるのも本物か偽物か、高いか安いかだけ。それが人の求める価値。モノの価値など誰にも分からない。

それでもモノの価値を突き詰めた表現を追求するなら、それが可能な力が自分にはあると信念を貫くなら、自分だけは意地でも自分を信じ続けねばならない。例え生涯誰にも認められなくても。

そしてその生き様が完遂された時、ようやくそれは価値あるものへと姿を変える。そんな想いから今回のアルバム・タイトルは、”Keep To Your Philosophy”に決めました。

言葉の全文は、”Keep to your philosophy, to bless your death.” 《死を祝福するために、己の哲学を貫け》。

生きる為に何かと戦い続けてる人たちへのエールです。

さて、連休中に作った二曲のラフ・ミックスがようやく完成し、これでアルバム用の楽曲が全て揃いました。

一曲は去年から取り組んでいたものをようやく形にしたもの。今まで作った曲の中で最多トラック数になりました。

ドラム、和太鼓、手拍子、アコギ、エレキ、ベース、金管、木管、弦楽、民族楽器、メロトロン、ボーカル、バックボーカル。実音だけで計40トラック。これにAUXトラックが加わります。

この曲のキーはかなり高いですが、これでもチューニングは1音下げ。6弦開放の音を使うのでこれ以上は落とせず、自分本来のキーより高いながらも勢いのあるボーカルが録れたと思います。昔はよくこんな無茶な声で歌っていました。

もう一曲はこの曲と繋がってメドレーになっています。何年も前に作った曲ですが、単調なポップソングにならないように、コーラスのベースラインや構成を工夫しました。

※Keep To Your Philosophy (2023 Remaster) に差し替え

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